2024年4月21日日曜日

継承


240420 DUCATI KYOTOさんにて



2024年4月20日、sport1000に代わる愛車として748Rが僕の元にやってきた。
この数ヶ月、首を長くして待っていた。ようやく。



0420 DUCATI KYOTOさんにて



10:15頃にストアに着き、プレビューキャラバンで展示された HYPERMOTARD698 MONO に跨ったりしながら、GUN店長の体が空くのを待つ。




0420 DUCATI KYOTOにて
あらためて、ご対面



思えば、2008年3月、sport をお世話になったのもこの方からだから、丸16年のお付き合い。
これからもよろしくお願いします。



0420 DUCATI KYOTOさんにて
カウルの造形が美しい




0420 DUCATI KYOTOさんにて
シリアルナンバーのプレートが誇らしい。納車時のODOメーターは9169km。



今時の車両と違ってデバイスの類はついていないから、お店からの申し送り事項は至ってシンプル。
”まずは748Rに慣れて下さい
スタートのクラッチミート、アイドリングで(エンジンが)止まる等のクセがあります
基本は当時のレーサーなので、扱いが今までと異なります
でも、すごく楽しく刺激の多い車両です”

車検証や伝票などいただいた書類をウエストバッグに片づけ、ヘルメットを被りグローブを嵌める。
748Rに跨り、セルボタンを押す。。。。エンジン掛からない?
スタンドが出たままだから?
あらためて、サイドスタンドを払い赤いセルボタンを押す。
純正のカーボン巻きテルミ管から吐き出される野太いエキゾースト。中間排気量とはいえ相当の迫力だ。
DUCATI KYOTOさんを右折で出て、すぐ信号停止〜左折。
この最初の停止で、ただ漫然とアイドリングのまま停まっていてはいけない事を実感した。
アクセルOFFで完全停止して、10数秒。軽くアクセルを煽ってみると2000rpm付近で”ゴボゴボッ”とむせかえるような感触。
なるほど、アイドリングで被るわけだ。
これはスロットルバタフライボディの真上にシャワータイプのインジェクションを置く構造のせい。”当時のレーサー”そのままである。
レースでは一旦エンジンがかかってしまえばあとはフィニッシュするまで止まらないのだから、まぁそうだよな。

ファーストRUNの行先は、もちろん美山。

ストアを出てすぐのGSで満タンにした後は、街中での使い勝手がどんなものか、高速に乗るのを少し我慢。京都縦貫道・沓掛までは一般道を走って様子を見る。
30分程度かと思うが、混雑程度の状態でもかなりの苦行だ。3000〜4000ほど回っていれば、なんとか大丈夫そうだが、それ以下だとイケない。時折ローギアも使ったり、止まった時にはブリッピングを入れながら周りの交通に合わせるのはなかなかなストレスだ。
タウンスピードでは”4枚パッド”のブレンボは強力すぎて、しばらくギクシャクしてしまった。
ある程度流れてくれさえすれば良いのだが、渋滞は絶対に避けたい。



0420 map 往路



高速に入り、エンジンを回してみる。
回転のスムーズさ、立ち上がりの鋭さは、やはり空冷とは全く異なる。
チタン製コンロッドにハイリフトカムを奢るレーサーそのもののEg.
9000rpmあたりまで一気に回り、その後もスムーズに回転を上げていく。
MAXトルクは、カタログ値で sportの8.5kgf・m/ 6000rpmに対し、7.6 / 9000と1割ほど細いから、そう怖さを感じる事なくアクセルを開けることができる。
一方でパワーの方は逆に748Rの方がほぼ2割増し。
カウルで空気が整流されてることもあって、sport と同じ調子で飛ばしていると、同じような感覚の+20kmくらいまでスピードが乗っている。
これは気をつけないと免許がどれだけあっても足りない、、、いや調子に乗ってると危険だぞ。

だが、この748cc水冷L-Twinの美味しいところは7〜8000rpmより上のところだ。
sportに搭載の1000cc DSエンジンのスィートスポットは5000を超えたあたりからだったから、排気量を考えると確かにそうだ。
だが、それより下の回転域での許容の度合いが全く違う。鷹揚にして、ふんわり流していても楽しかったsportに対して、この子はそれを許してくれない(気がする)。代わりに回っている時の官能度たるや凄じく、抗い難い刺激である。
元々がプロダクションレースのためのホモロゲーションモデルなのだから、求めるべきは速さ。
そこに味や感性などを言う方が間違っているのだろう。



0420 美山にて



京都縦貫道を千代川で降りて、いつものワインディングへ。
以前 sportに乗り始めて間もない頃にSBK1098を試乗して、その乗りやすさに驚くとともに、DUCATI のハンドリングの基準はスーパーバイクにあるのだな、と思った。
以降の1198や1299 Panigale にも乗る機会はあったが、その感想は変わることがなかった。
今回、さらに前の世代となる748R 。だが、同じだった。
バイクに跨ってすぐの0スピードから極低速の間はフロントが少し重い?と感じたが(国産ではカワサキの感じに近い)少し走り出すと消えた。
ほんの僅かな体幹付近での動きで「いつでもリーンするよ」という反応が返ってくる。
これにブレーキリリースや抜重との組み合わせで後輪を起点にコーナーリングに入っていく、上半身や頭の位置で曲がりをコントロールする、いろんなことを試したりしながら、コーナーを切り取っていくのがものすごく楽しい。
アクセルのピックアップや回転落ちがリニアで、スロットルで車体にキッカケを与えやすいのは空冷にも感じていた美点。さらに前オーナーが施したドゥカティパフォーマンス製のROMとハイスロの相性が抜群。
街中で使うには強力すぎると感じたフロントのブレンボだが、ワインディングでのコントロール性は最高。ぎゅ〜っとブレーキディスクを締め付ける感じが指先に伝わって来る。レバーの引きに応じて制動力がどこまでもリニアに増していく。
また車体やサスペンションにも十分な容量があり、しなやかながらも鋭く、しかもまだまだ余裕があるという贅沢たるや!!
「元々レースでの使用が目的のバイクなのだから、ワインディングくらいなら当然だろうよ」
確かにそうだ。
けれど、「押しても引いてもびくともせず、なんの表情もなく、いつの間にか速い」スペック重視のマシンもある中(僕の勝手な偏見だが)、こいつはムチャクチャ面白いぞ。
夢中になって、「いつものコース」をぐるぐる回った。



0420 美山ふれあい広場にて YB11と
この美しいbimota のオーナーさんは、以前にお会いしたSB6の方だった。
SBとYBを気分やバイクの調子と相談しながら、ほぼ交互に乗っていのだそうだ。



美山ふれあい広場にPIT-IN。
バイクを停めた途端に心地の良い疲労感。748Rのライディングが楽しすぎたせいだ。
ベンチに腰掛けたら「前に会った時とバイク変わりましたか?」と声をかけられた。
上の写真のYBのオーナーの方だ。
僕も「bimotaはbimotaでもYBなので、別の人かと思ってました」とご挨拶。
休憩しながら、しばらく歓談。写真も撮らせていただいた。

さぁもう一走りしながら帰路に着こう。



0420 美山ふれあい広場にて



「いつものコース」をもう1周してから、府19〜78〜R477から花脊峠。昨年12月半ば以来だ。



0420 map 帰路



少しは慣れたこともあって、R477や花脊峠では、sport の時と同じような感覚で特に何かに気遣うこともなく走っていた。
あ、スピードの出し過ぎには注意しましたが(苦笑)

再度最寄りのGSで給油してから、16:00 帰宅。
ファーストRUNの走行距離は180km。初回の燃費は約15km!(sport での通算は約21km)



0420 自宅にて
ファーストRUNの走行距離は180km



0420 自宅にて
そういえば、タイヤも新品なのだった。すっかり忘れて楽しく走っていたけれど(汗)



*************************************************************************************************************************************************************************************************


愛車となった DUCATI 748R 
実は、友人から譲り受けた車両だ。「買った」のではなく、文字通り”譲り受けた”。
発端は昨年秋まで遡る。
X(旧Twitter)に何気なく、
僕がsoprtから乗り換えるとすれば、現行のStreetFighter のV2モデルを sportと同じ山吹のイエローに塗装して、なんて似合うかな 
というような呟きを投稿したことから。
たちまち乗り換えを考えていたわけでは無いが、sport も相応の車齢で、遠からずそういう事を考える日が来るのかもしれないという意識がどこかにあったのだろうか。

2023.10.22、本当に譲り受けることになった。
casunoさんにお預けし、走り出しは暖かくなってからで良いからと、外装の再塗装や整備には時間をかけてしまったが。



231022 DUCATI KYOTOさんにて



譲ってくださった背景は、サーキット専用機としていたけれど機会がなくなってきていること、「らしく」走らせることがなかなかできずにガレージで朽ちるのは忍びないとのこと。
しっかり走らせながら大事にしてくれる友人がいるなら、と。
ご自身が購入された際のショップからの情報や価格資料、所有されていた期間の整備内容やその伝票・記録、予備のパーツ、当時の書籍に至るまで、全て譲っていただいた。

口にされたわけではないが、無償で譲っていただけたのは、僕がsport を手放したりしなくていいように、というご配慮の上でのこと、と思っている。
僕自身も、ついこの間まで2台持ち体制でいこうと思っていて、ありがたくお言葉に甘えさせていただいたのだが、家人の気持ち、これからのバイクライフや家族とのあり方、、、諸々考えることがあって748Rに絞ることにした。この結果になってしまって、そのお心遣いに申し訳ない気持ちだ。

昨日のファーストRUNを走ってみて、本当に気に入って大事にしておられたのが改めてよく分かった。
タンブリーニの手による美しい車体。
素晴らしいパフォーマンスのエンジンと足回りは、モデル後期で熟成されていることもあってか、4世代も前のマシンだということを忘れさせてくれる。むしろ唯一無二の存在だ。
(レースに使わなければ、かも知れないが)

僕のバイクライフで一番大事な事は何か、そのために最適の1台は何なのか

まさか、30年前の916のデビューから、ずっと雲の上の存在と憧れたバイク(シリーズ)に
いつの間にか自分の色?となったイエローのバイクに
自分がステージとしたい郊外のワインディングにジャストフィットのサイズ・パワーのマシンに
よりピュアーに走ることを突き詰めた、レーサーのベースモデルである”R”に
このタイミングで乗れることになろうとは。「ご縁」以外に思い当たる言葉が無い。

友人が大切にしたきたマシンを、僕なりのバイクとの向き合い方で、大切にそして何より楽しみながら、受け継いでいきたいと思う。




240420 美山にて


11 件のコメント:

  1. 綺麗にお化粧直し、整備されて、再び走り出した姿に感無量です。

    自分のでは無いけれど、ガレージでは寂しそうだったので748Rも喜んでいると思います。

    返信削除
    返信
    1. お気持ち溢れるコメント、ありがとうございます!!
      時間がかかってしましましたが、本当に楽しいファーストRUNで、待った甲斐がありました。
      また実車を見ていただいて、ご一緒に走れるのを楽しみにしています。
      今後ともよろしくお願いします!!

      削除
  2. 本当に美しい……。
    納車おめでとうございます。
    そして、初っ端から非常に濃い付き合いの始まり……。
    新しい相棒とのMCLIFEの始まり。DUCATI京都さんがそばにあれば、メンテも安心ですね。
    アクセルグリップのワイヤリングとレバーの高さに思わずニヤリとしてしまった私です。
    どうぞ、素敵な748Rライフを!!”

    返信削除
    返信
    1. >樹生和人さん
      ありがとうございます!!
      748R、想像の何倍も濃く、ピュアなマシンでした。
      WEBでのインプレッションに”バイクという乗り物をよく知る人のためのマシン”という表記があったのですが
      さもありなん、でした。
      これから長く付き合っていきたいと思います。

      削除
  3. 〉僕のバイクライフで一番大事な事は何か、そのために最適の1台は何なのか
    748Rとの出会い、それを駆るよろこびがとても伝わってきました。
    唯一のMCと新たな幕開け、始まりましたね!

    返信削除
    返信
    1. >selenさん
      ありがとうございます!!
      僕がバイクライフに求めるもの、乗っていて楽しい、嬉しいと感じる事をどんどん絞り込んでいった時の最適解のうちの1台、しかも奇跡のように趣向に合った1台に乗れることになりました。
      あまりにピュアーで、自分などが乗れるのかどうか、新しいチャレンジです。
      また季節の風景と一緒に、新しい愛車との付き合いを綴っていきたいと思います。

      削除
  4. かなり前になりますが、大阪にライブを観に行った帰りの電車の中で、「スポルトから乗り換えるとしたらナニにする?」と訊いたときの答えをずっと覚えていました。
    以後、無責任に916系への乗り換えを勧めてきたコトもあり、お声がけをさせていただいた次第です。

    「要る?」との問いに対して「要る!」と即答いただけた時には嬉しかったっすw

    返信削除
    返信
    1. この度のこと、本当にありがとうございます!!
      「もしsportから乗り換えるとしたら」この内容で、本音で話せた人って、他になかなかいないのです。
      やっぱり趣向や考え方が人によって違うので。。。何度かお話をしていて、それを都度覚えていただいていることだけでも嬉しく思っていた上に、今回のお言葉だったので。。。
      大事にしながら楽しく乗らせていただきます。今後ともよろしくお願いします!!

      削除
  5. “黄色い人” 流石です!

    返信削除
    返信
    1. >tkjさん
      ”黄色い人”懐かしいですね。
      当時はウェアの色でしたが、すっかりバイクのカラーで定着しました(笑)

      削除
  6. じゃ、今度SSツーリング行きましょう! 大

    返信削除